家の中でコンセントが足りなくなると、延長コードを使ったり家具の配置を変えたりして不便を感じます。壁の中に配線してコンセントを増設すると見た目がすっきりし、安全性も高まることが多いです。ここでは増設を検討する際のポイントや工法、費用、安全面、業者選びまでをやさしい言葉でまとめます。
コンセントを増設するなら壁の中に配線するのがおすすめの理由
壁の中に配線することで、生活空間が整い機器の配置がしやすくなります。露出配線に比べて掃除や安全面での利点も多く、長く使う場合に向いています。初期費用や工事の可否は場所によって変わるため、まずは現地での確認が大切です。
見た目がすっきりして生活空間が整う
壁の中に配線すると、コードや配線カバーが目立たなくなります。部屋の印象がすっきりし、家具の配置もしやすくなるので、毎日の暮らしが落ち着いて感じられます。壁と同じ位置にコンセントがあると掃除もしやすく、床に配線が散らばる心配が減ります。
また、配線が隠れることでインテリアの自由度が上がります。壁掛けテレビやデスクまわりの配線を見せたくない場合にも向いています。見た目だけでなく、配線が家具に引っかかる心配も減るため、暮らしのストレスが小さくなります。
配線の露出が減り掃除が楽になる
露出したコードは掃除のときに邪魔になりやすく、ホコリがたまりやすい部分でもあります。壁の中に配線すれば床や壁周りにコードが出ないため、掃除機やモップが楽に使えます。ホコリのたまりやすい場所が減ると掃除の回数や手間も軽くなります。
配線が見えないことでペットや小さな子どもがコードをかじったり引っ張ったりするリスクも減ります。日常の安全性が上がるだけでなく、掃除の際のちょっとした手間も減るので、家事の負担が少し軽くなります。
長く使う場合は安全性が高まる
壁の中に配線する工事は、きちんとした工法で行えば接続箇所や露出部分が減り、火災リスクや断線リスクを抑えられます。特に頻繁に使う場所や家電を常時接続する場所では、安全性の向上が期待できます。
安心して使うためには、適切な太さのケーブルや容量に合った回路にすることが重要です。設置後もブレーカーや配線の状態を確認できるようにしておくと、長く安全に使えます。
一時的には費用が高くなることがある
壁の中に配線する場合、配線経路の確保や壁の開口・復旧作業が必要になるため、露出配線に比べて費用がかかることがあります。特に配線距離が長かったり、下地や構造に手間がかかる場所では費用が上がりやすいです。
ただし見た目や安全性を重視するなら、長い目で見て満足度が高くなることが多いです。コスト面が不安な場合は、複数業者に見積りを取って比較すると良いでしょう。
まずは現地調査で設置可否を確認しよう
壁の構造や内部の配管・配線状況によっては、壁の中を通す工事が難しい場合があります。まずは業者に現地を確認してもらい、設置可能かどうかを判断してもらうことが大切です。
現地調査では壁の材質や下地の位置、既存の配線状況をチェックします。調査で得た情報をもとに、工事方法や費用、必要な作業内容を明確にしてから進めると安心です。
壁の中に配線する工法と作業の流れ
壁の中に配線する工事にはいくつかの工法があり、現場の状況で最適な方法が変わります。ここでは主要な工法と一般的な作業の順序をわかりやすく説明します。
露出配線と隠蔽配線の違い
露出配線は壁の表面にモールや配管を付けて配線する方法です。工事が比較的簡単でコストを抑えられますが、配線が見えるため見た目が気になることがあります。修理や追加も手早くできます。
隠蔽配線は壁の内部に配線を通す方法です。見た目がすっきりし、掃除や安全面で有利ですが、壁の開口や復旧作業が必要になり、工事費用が高くなる場合があります。建物の構造や下地の有無で対応可否が変わります。
用途や優先したい点に合わせて選ぶと良いでしょう。仮に将来の変更が多い場所なら露出配線、長期間使う場所やインテリア重視なら隠蔽配線が向いています。
分電盤から新しく配線を引く手順
分電盤から新たに専用配線を引く場合、まず分電盤側の空き回路や容量を確認します。必要があれば専用回路を増設する手配を行います。次に壁内部のルートを確保し、下地を確認してからケーブルを通します。
配線を通したら、壁内での接続作業やコンセントボックスの設置を行い、最後に絶縁抵抗などの試験をして安全性を確認します。壁の開口部は復旧して仕上げを行い、動作確認をして完了となります。
既存配線から分岐して増設する手順
既存の配線から分岐する場合は、まず元の回路に余裕があるかを確認します。負荷が大きい機器が多数つながると過負荷の原因になるため、回路の配慮が必要です。分岐点を決め、適切な接続方法で配線を分けます。
分岐後は新しい配線を壁内に通し、コンセントを設置して漏電や短絡がないかを確認します。分岐の方法によっては、分電盤側での調整やブレーカーの追加が必要になることもあります。
下地の確認方法と下地探しの注意
壁内部の下地(木材の間柱や金属の下地)がどこにあるかを確認するには、下地探し器を使うのが一般的です。叩いて音の違いを聞いたり、壁面のビス位置を目安にする方法もありますが、確実さは機器に劣ります。
下地の位置を間違うと配線が通せないだけでなく、配管や配線を傷つけるリスクがあるため注意が必要です。分電盤や既存配線の図面がある場合は、それを参考にするのも有効です。
石膏ボードの開口と配線通しの工程
石膏ボード壁ではコンセント位置のマーキングをしてから開口します。開口後、内部の空間を確保してケーブルを通し、ボックスを固定します。配線が終わったら接続と絶縁確認を行い、ボードをパテや専用部材で補修して仕上げます。
開口や補修は見た目に影響するため、丁寧に行うことが重要です。仕上げの段階で塗装やクロス貼り直しが必要になる場合もあるため、工事前に相談しておくと安心です。
壁の中を通す増設工事の費用と相場
壁内配線の費用は工事の規模や難易度、建物の状態で幅があります。ここではおおよその目安と、費用が変わるポイントを紹介します。
基本工事費の目安価格
基本工事費には配線材、コンセント本体、工賃、配線通しの作業費などが含まれます。一般的な増設であれば、数万円から十万円台後半程度が多いですが、条件により上下します。複数箇所の増設や壁の補修が必要な場合はさらに費用がかかります。
工事の内容や地域差もあるため、目安として複数の業者から見積りを取ると分かりやすくなります。
配線距離や難易度で変わる料金
配線距離が長いとケーブルや作業時間が増えるため費用が上がります。壁の中に配線を通す際に複雑な迂回や多数の障害物があると、その分手間がかかり工賃も増加します。目に見えない配管や既存配線の処理が必要な場合も追加費用が発生します。
現地調査で工事のしやすさを確認して、見積りに反映してもらうことが重要です。
戸建てとマンションで変わる要因
戸建ては壁内部に比較的自由なスペースがあることが多く、配線ルートの選択肢が増えます。一方マンションは壁の構造や配管、上下階への配慮が必要で、管理規約や配管の位置により制約が出ることがあります。
マンションでは管理組合の許可や既存の配線状況の確認が必要になる場合があるため、事前確認を忘れずに行ってください。
100ボルトと200ボルトでの違い
一般的な家庭用コンセントは100Vですが、200VはエアコンやIHなど専用機器で使います。200V回路は配線やブレーカーも別仕様になり、工事費は高めになります。専用の回路と専用機器の負荷管理が必要です。
目的の機器に合わせた電圧選びと、分電盤側での対応を業者と確認してください。
見積りで費用を比較するポイント
見積りは工事内容が詳しく書かれているかを確認しましょう。配線距離、材料、壁の補修費、追加作業の想定などが明記されていると比較しやすくなります。安すぎる見積りは手抜きや隠れ費用の可能性があるため注意してください。
複数社の見積りを並べて、作業範囲と価格を比較することが大切です。
壁の中に配線する際の安全面と許可の確認
配線工事は安全第一です。法的な許可や資格、建物のルールに従って進めることが重要です。ここでは確認すべきポイントをまとめます。
電気工事士の資格を必ず確認する
電気工事は資格が必要な作業です。業者に依頼する際は、担当者に電気工事士の資格があるかを確認しましょう。資格を持った作業者が関わっているかどうかで、安全性やトラブル時の対応が変わります。
資格の有無は見積りや名刺、ホームページなどで確認できます。疑問があれば直接質問して確認してください。
賃貸物件では管理者に相談する
賃貸住宅で壁に穴をあける工事をする場合は、まず大家さんや管理会社に相談が必要です。許可が得られないと工事ができないことがありますし、原状回復の条件も確認しておきましょう。
管理規約や契約書に工事に関するルールが書かれている場合もあるため、事前に確認しておくと後々のトラブルを防げます。
水回りや配管近くは増設が難しい場合がある
キッチンや浴室の近く、給排水管の通っている場所は配線が難しくなることがあります。水と電気が近接すると危険性が増すため、特別な配慮や別工法が必要になることもあります。
こうした場所では業者の判断を仰ぎ、必要なら回避ルートや専用の防水対策を検討してください。
金属下地や断熱材の扱いに注意する
金属の下地や構造材がある場合、配線ルートの選定が制約されます。断熱材が詰まっている壁も配線作業が難しく、火災や結露の観点から配慮が必要です。適切な配線材や施工方法を選ぶことが重要です。
業者は現地の状況に応じた工法を提案してくれるので、不安な点は相談して確認してください。
作業時はブレーカーを切って安全確認する
配線作業中は必ずブレーカーを切って電気を遮断します。作業前後に電気が正しく遮断されているか、テスターで確認してから作業するのが基本です。作業後も動作検査や絶縁抵抗の測定を行い、安全を確認します。
この手順が守られているかを業者に確認して、安心して工事を任せてください。
業者の選び方と見積りで確かめること
良い業者選びは満足できる工事につながります。以下の点をチェックして、信頼できる業者を選んでください。
現地調査をきちんと行うか確認する
現地調査を行う業者は、工事の可否や適切な工法を把握した上で見積りを出します。現地を見ずに出す見積りは実際の追加費用が発生しやすいため、調査を重視する業者を選びましょう。
調査時に具体的な説明や図示があると安心できます。
有資格者が作業するかを確認する
実際の作業に電気工事士が関わるか、担当者が資格を持っているかを確認してください。資格を証明できる書類や担当者名を確認しておくと安心です。
資格者がいない業者や曖昧な返答がある場合は別の業者を検討してください。
見積りに工事内容と追加費用が明記されているか
見積りに作業内容、使用する材料、追加費用の可能性が明記されているかを確認しましょう。補修費や予期せぬ障害が発生した場合の扱いも明確にしてもらうと安心です。
口頭だけで済ませず、書面での見積りを取り比べて判断してください。
施工実績や口コミをチェックする
過去の施工実績や利用者の口コミを確認すると、業者の仕事ぶりや仕上がりイメージがつかめます。写真付きの事例や同様の工事経験があるかを見ると参考になります。
不明点があれば問い合わせて実例を見せてもらうのも良い方法です。
工事保険や保証の有無を確認する
万が一の事故や施工後の不具合に備えて、工事保険や保証があるかを確認してください。保証期間や保証範囲を事前に把握しておくと安心して依頼できます。
保証の有無や対応の早さも業者選びの重要なポイントです。
壁の中を通してコンセントを増設する前に確認すること
工事を決める前に、設置希望場所の使い勝手、建物の構造、管理規約、分電盤の容量などを確認してください。現地調査で正確な情報を得て、複数の業者から見積りを取ることが安心につながります。工事後の仕上がりや保証内容も忘れずに確認して、快適で安全な電源環境を整えてください。

